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「生きる」芸術に触れた日のこと

 先の9月23日に、平川病院造形教室主催の「自己表現展〜心の杖として鏡として〜」に行ってきました。

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 精神病院の造形教室という異質な空間で過ごす、過ごしてきた方々による表現展ということで、そのテーマに興味深さを感じながらも緊張しつつ、昭和レトロな佇まいの八王子中央図書館地下の会場まで行ってきました。


 扉を開け入るとすぐ、たくさんの作品群にまず圧倒されました。独特のタッチや言葉に、心揺さぶられ抉られてしまいましたが、どの作品も素晴らしく、人生そのものが素材であり、死とか、病とか苦しみ悲しみという負の要素もすべて、アートとして表現することで「生きる」という題材が常に新しく生まれ続いているような自然の発露のようなものを感じました。


 作品に見入っていたら「それ僕が描いたんです。怒り一心で描いたんです、女の人が上手く描けなくて…」と声をかけてくれたのは穏やかで落ちついた表情の男性でした。


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 展示された作品の中には、亡くなられた方の作品もあり、重く沈みそうになりましたが、この男性も恐らく、人々が目や耳を塞ぎたくなるような自己存在の危機に何度も直面しながらも、生きる術を芸術に昇華させたその作品、その姿は静かな迫力に満ちていました。



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