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「つなぐ、つながる」

10月23〜24日に開催された全国自立援助ホーム協議会大阪大会から、早いもので三週間が経ちました。


三年前にオンラインで参加した鳥取大会から、今回で四度目の参加になります。

全国自立援助ホーム協議会ができたのは1993年。

私が生まれたのも1993年。

偶然にも同い年なのです。


私は今年で32歳になりましたが、コロナ禍の延期もあり、今回が30回記念大会ということでした。

テーマは、「つなぐ、つながる 」~地域に根差し、"わたし"に寄り添う~。

まさに、自立援助ホームの持つ繋がりに励まされると共に、「つながり」について問い直す二日間でした。


個人的には、「声を聴くこと」「取りこぼしをなくすこと」の二つを課題として受け取ったと感じています。


二日目午前の分科会では、「子ども・若者の声を聴く」というテーマで、武蔵野大学の永野咲先生の講話と、永野先生が理事長を務められているNPO法人IFCA(インターナショナル・フォスターケア・アライアンス)のユースであるケアリーバーの方々との対談を聴かせていただきました。


困難の中にある時に、自分の気持ちをジャストサイズで伝えることの難しさについての理解から始まり、社会的養護の経験者が、アドボカシーを通して、どのように自分の人生へ参画していくか、社会へ参画していくか。

声にならない「声」を聴くためには、「生きてていいんだ」と思うことから始めなければならないこと。

そして何より、困難を抱えて生き抜いている、目の前の当事者に対する敬意と理解。


どれも、共に歩む大人として、私たちが決して忘れてはならないことです。


ある子は語りました。

たとえ良い形じゃない退所を迎えたとしても、職員に言われたことがずっと胸に残っていると思う。

すぐに芽が出なくても、種を蒔き続けてほしい。

そして、できるだけ長く、この仕事を続けてほしい。


自分の至らなさと無力さを実感することの多い日々ですが、「大丈夫だよ」と背中をさすってもらったような気がして、目頭が熱くなりました。


さらに午後のプログラムでは、THREE FLAGSのマコさん・ブローハンさん・ライトさんと、香川県の自立援助ホーム丸亀おひさま荘の合木さんによるトークセッションが行われ、心が熱くなる時間を持ちました。


THREE FLAGSさんは、YouTubeを通して「声」を発信することで、社会的養護の現状について多くの人に知ってもらい、必要な情報を届ける活動をされています。


声を聴くこと。

声を届けること。


その声をあげられるようになるまでの道のりの険しさに想いを馳せると共に、何気ない日常が、かけがえのない日々であることを思い出させていただきました。


まきばへのお土産には、マコさんの著書「親が悪い、だけじゃない」を持ち帰りました。

「虐待をする親が悪い」で終わりではない。

本当は、親にも助けてくれる人がいれば良かった。

この言葉に、わたしたちが取り組んでいかなければならないもう一つの課題を再認識しました。


三年前、パソコンの画面越しに参加した鳥取大会で、家庭が機能しなくなってから支援するのでは遅い、そうなる前にまず地域で親をサポートしていく仕組みを作っていかなければならないことを学びました。

それからずっと、この相模原市において、親が孤立しないために必要なことは何か、わたしたちに何ができるのかを考え続けています。


一日目の基調講演で、首都圏若者サポートネットワークの村木厚子先生が語ってくださったのは、「目線を変える」必要性でした。


わたしたちは、視野を狭くすることで、たくさんの取りこぼしを生んでいる。

ホームに繋がってくれた人だけではなく、地域にはもっとたくさんの人が助けを必要としている。

虐待は、「親の責任」ではなく「大人の責任」。

だから目線を上げて、遠くまで見てほしい。


取りこぼしをなくすために必要なのは、支援者自身が広い視野と豊かな関係性を持つこと。


そして支援の「綱」を結び合わせて「網」を作るためには、仲間と繋がり、他分野と繋がり、市民と繋がり、行政と繋がり、たくさんの結び目を作っていくことが必要なのだと学びました。


相模原市では、市内全ての社会的養護関係施設と、里親、ファミリーホーム、フォスタリング機関、社会的養護自立支援拠点、行政が参加する「かるがもクラブ」が今年度から発足しています。

つい先日、二度目の話し合いが行われ、今後の取り組みに向けての期待やアイディアを出し合う時間を持ちました。

この働きを、相模原市における結び目の一つにしていければいいなと感じています。



今回の大会では、「繋がり」という言葉が何度も登場し、その度に「つなぐ」「つながる」の意味について考えさせられました。


これまでの自立援助ホームの働きの中で、みゃくみゃくと繋がってきたバトンを受け取り、次に繋げていくことは、わたしたちに課された使命のひとつだと思います(大阪だけに)。


そのためにも、この二日間で学んだことを糧にして、これからの働きに繋げていきたいと思います。


改めて、研修を主催された近畿ブロックの方々とご登壇者の皆さまに、いつも快く研修に送り出してくれるホーム長とスタッフの皆さんに、そして「おかえり」と迎えてくれるまきばの女の子たちと家族に、感謝の気持ちをお伝えしたいです。

貴重な二日間をありがとうございました。

 
 
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​私はあなたに約束したことを果たすまで、決してあなたを見捨てない。​

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